おみそです。
「好きな車に好きなだけ乗れたらどんなに幸せか…」
車好きの人なら誰しも思うことでしょう。
ぼくもアメ車好き、特にSUV・四駆・ピックアップトラックが大好きで、「次はピックアップトラックに乗りたいなぁ~」なんて、奥さんにはとても言えない妄想を膨らませています。
でも「見積もり取るくらいならいいだろう…」と、アメ車・輸入車ディーラーに気になる車の見積もりを依頼したりしてちょっとしたワクワクを楽しんでいます。営業マンからしたら迷惑な問い合わせでしょうけど、本当に気になるから問い合わせてるので許してくださいね。(お金があったら本気で買いますから)
そんなしょうもないことをやっていたある日、意外な問題に直面することになるのです。
「ブレーキ制動試験」
日本に入ってきていないアメ車を「取り寄せたらいくらになるか」と問い合わせたところ、「ブレーキ制動試験に合格しなければならない。」と言われ、単に車を輸入すればいいという簡単なお話ではないことを知りました。
ぼくもアメ車好きとはいえ、車の販売や輸入に関しては素人なのでそんなこと知りもしませんでした。
車好きの人の中にはぼくのように「知らなかった!」という人もいると思うので、「無知」という恥ずかしさを晒して記事にします。
目次
すべてはラムトラックの見積もり依頼から始まった。
すべてはぼくが「いつか乗りたいなぁ…」と思っていたダッジ・ラム(現在はラムトラックス)のラム2500の見積もりを依頼したことがキッカケでした。

問い合わせした2019Ram2500パワーワゴン。
画像:Ram Trucks
中古車サイトを見ても、有名なアメ車ディーラーのサイトを見てもお目当ての車が見当たらず、思い切って何社かに「輸入したらいくらになりますか?」と問い合わせてみたのです。
すると数日後、問い合わせたディーラーから次々に返事が返ってきました。
「弊社では取り扱いを行っておりません。」
「申し訳ございません。現在、取り扱いしておりません。」
「なぜじゃーーーー!!!」
お店のホームページには「ここにない車種もお気軽にお問い合わせください。」などとさんざんアピールしていたのにこの扱いはなんじゃー!と、ディーラーからの素っ気ない返事にワケもわからず発狂していました。
今考えればお恥ずかしい話ですが、ディーラー側にも「取り扱えない・取り扱わない」理由があったのです。
輸入車の「ブレーキ制動試験」とは何ぞや?
しかし、ある2社の担当者からそれぞれ電話とメールで詳しい話を聞くことができました。
「ここまで大きい車だと、ブレーキ制動試験を受けなければならず…。」
「ただでさえ需要が少ない車種なのに、わざわざお金と時間をかけて取り扱うディーラーはいないと思います。」
どうやらラムトラックの車体が規格外に大きいのと、国内販売として例がないため「ブレーキ制動試験」なるものをお金と時間をかけて受けて合格しなければならないらしいのです。しかもそこにかかる費用はすべて自分の自腹で…。
車の輸入に関して何も知らないぼくは、とりあえず聞き取れたワードをもとにさっそくググってみました。
するといろいろなことがわかってきました。
さまざまな項目からなるブレーキ制動試験

「ブレーキ制動試験」とはブレーキ試験とかブレーキ性能試験などと呼ばれ、その名のとおり車のブレーキの性能を調べる試験のことです。
まぁ昨今の自動車事故のニュースや車という乗り物を考えてみるとき、「ブレーキがちゃんと利くか?」という試験はあって当然のことです。ましてや歩行者や乗車している人の命を守るためにも、このブレーキ制動試験はとても重要なことであり、その内容もかなり厳格なものになっているようです。
今回調べたのは一般財団法人 日本自動車研究所(JARI)というところが出している資料からの引用ですが、ぼくが見積もりしたラムトラックは車両重量3500kgを超えるピックアップトラックなので、「車両総重量3.5t~12t以下のトラックのブレーキ制動試験」ということになります。
試験項目は以下のとおり。
常温時制動試験
常温時高速制動試験
フェード試験
車輪ロック確認試験
原動機停止時制動試験
応答時間試験
エネルギー蓄積装置の充てん性能試験
制動液漏れ故障時制動試験及び制動液漏れ警報装置の作動試験
エネルギー故障時制動試験及びエネルギー故障警報装置の作動試験
可変式制動力装置故障時制動試験
エネルギー蓄積装置の総容量試験
圧力保護弁下流のエネルギー蓄積装置の容量試験
圧力空気配管漏えい時の排気応答時間測定試験
ABS 故障警報装置の作動確認試験
補助制動装置
エンジンブレーキ及び補助制動装置の減速能力試験
エンジンブレーキ及び補助制動装置の連続制動試験
高速バスの試験
駐車制動装置
静的性能試験(坂路試験法 or 制動力測定試験法 or けん引力測定試験法)
動的性能試験
スプリングブレーキ試験
引用:JARI
かなり細かく分類されているんですね。想像するだけで緊張してきます…。
車によっては受けなくてもいい項目もあるようですが、輸入した車に乗るためにはこれらをクリアしないといけないのです。
費用がハンパなく高い…らしい。
この試験の費用がとんでもなく高いんです。
ディーラーの話によると1回あたりの試験費用が160万円くらいするそうで、もしこの試験に落ちてしまった場合はまた160万円払って再度受け直さなければならないのです。(もちろん次は受かるようにパーツなどの調整をしてからですが…)
ぼくも車の運転免許試験に何度も落ちて、合格するまでに何万も払った記憶がありますが、それどころの話ではありません。中古の型落ち普通車なら買えてしまう値段です。
しかも試験に一発合格しないとまた同じ費用がかかるなんて…、とんでもないプレッシャーですね。
手間や時間もかかる…らしい。
費用以外にも試験の申請をしてから試験日程の調整に時間がかかったり、試験場まで車を運ばなければならなかったりと手間や時間もかかるようなんです。
試験場は全国各地にあるわけでないらしく、日本自動車研究所で試験を受ける場合は茨城県まで行かなければなりません。都内近郊ならすぐですが、九州や北海道からとなると車の輸送費だけで相当なコストがかかります。(当然ですが、輸入した車はまだ道路を走れませんからね)
手続き関係はディーラーの担当者がやってくれるのでしょうけど、待っているこちらとしても気が気じゃない日が続くことになります。
それでもやっぱり好きな車に乗りたい。

画像:Ram Trucks
それでも「好きな車に乗りたい!」という情熱があれば、面倒くさい手続きや細かい試験内容も乗り越えられるはずです。
それよりも非現実的なのが費用でしょう。こればっかりは情熱や根性でどうにかなるものでもありません。
本体価格もラム2500なら600万円~800万円ほど。それに加え、このブレーキ試験費用、税金や保険、輸入関税、車の運送費用…諸々含めると1000万円を超す可能性も出てきます。
本体価格がもっと安いアメ車でも、本体価格と同額に近い追加費用が発生することになるのです。
そりゃあアメ車ディーラーもそこまで手間とリスクがある車を売ろうとはしませんよね。
すべての車に試験があるわけではない。
それでも日本国内にはさまざまなアメ車や輸入車が売られていますが、すべてのアメ車・輸入車がこのブレーキ制動試験を受けなければならないというわけではないのです。
ブレーキ制動試験を受けると試験の成績表「ブレーキレポート」なるものが発行されるのですが、それと同じ制動装置・部品を使っていることを証明できれば、わざわざ大金をかけて試験を受けなくてもよいのです。このブレーキレポートは試験に合格した車と同型の車であれば、試験車両も含めて10台までレポートのシェアが可能なのです。
業者間でブレーキレポートのシェアや売買もあるので、すでに国内販売されているアメ車(輸入・販売の前例がある車)などはわざわざ試験を受けなくても良いのです。
また、今回のラムトラックは車両重量が3.5tを超えているためブレーキ試験を受けなければならないのですが、車両重量がもう少し軽ければ対象にはならないようです。
好きなアメ車の夢はあきらめないぜ。
なかなか手強そうな輸入車のブレーキ制動試験。
お金が腐るほどあれば費用なんか気にせずチャレンジできちゃうんでしょうけど、一般庶民にはなかなか現実として考えにくい問題です。
でもやっぱり好きな車に乗りたい!!!
アメ車は当然アメリカの基準で造られた車ですから、アメリカに移住しちゃえば「買えばいいだけ」の話になりますが、家族もいるのでそう簡単にはいきません。
日本でも、もしかしたらどこかの金持ちか勇気あるアメ車ディーラーがラムトラックを輸入してくれるかもしれません。そしたら前例もできるのでもう少し費用を抑えられるかも…。
いや、ここはぼくが「前例」を作るべきか?
そうなったらカッコいいじゃん!!!
好きなアメ車、いつか絶対乗ってやる!!!
では。